『副王家の一族』 I vicerè

©2007: Jean Vigò Italia, RAI CINEMA Spa, RAI FICTION Spa, Isitut del Cinema Català;
『副王家の一族』、いよいよ今週末公開ですね。この作品は、2008年のイタリア映画祭で『副王家の血筋』というタイトルで上映された作品なので、ご覧になった方もいるかもしれませんね。
舞台は19世紀半ばのシチリア、カターニアで、スペイン副王の末裔であるウゼダ家が中心となるストーリー。
時代背景や地理的な共通点から、どうしても『山猫』を想起してしまうのだけれど、この2作品のアプローチは似て非なるもの。公式サイトの解説によると、『山猫』の原作が一貴族の記憶を元にして書かれたのに対し、『副王家の一族』は、歴史的な検証に基づいて書かれたのだそう。一方は私的な物語、もう一方は客観的な物語であるというのだから、同じようなモチーフを扱いながらも全く違った作品になるのは当然なのかもしれません。
加えて、それらの小説を映画化したわけだから、さらに差異が大きくなっているであろうことは、想像に難くありません。ただ、この「私的な」「客観的な」という部分について、映画を観た時に私が感じた印象は、解説とは逆でした。
社会的な世代交代の波と、旧家の公爵の権力が衰えていく様を重ね合わせて描いた『山猫』は、公爵の周辺を描きつつも、その向こうに社会の変化が重なって見え、サリーナ公爵はその旧勢力の象徴として描かれているように感じられました。
対して『副王家の一族』は、同様に社会の変動を描いているのに、浮き彫りになるのは、親子の関係であり、受け継がれる血筋なのです。父親の言動に反発し、旧体制から脱却しようとしていたにもかかわらず、権力を手にしたコンサルヴォは父親と同じ道を選びます。社会が、時代が大きく変動していく様をなぞりつつも、『副王家の一族』はそのタイトルに違わず、ウゼダ家という家族を描いた物語なのです。
どちらがいいとか、好みだとか、そういう問題ではなく、似通った話になりそうなのに全く印象の違う作品になっているところが興味深く感じられます。この2本は合わせて鑑賞すると、楽しみが倍増するのではないでしょうか。
ウゼダ家に降りかかるひとつひとつの”事件”が、どのような結末を迎えるのか。時代を描いた作品、家族を描いた作品としてだけではなく、コスチュームものとしても見ごたえのある作品です。
そうそう、『山猫』との共通点といえば、もうひとつ。『山猫』でアラン・ドロンが演じた役名と同じ名前の人物が『副王家の一族』にもいます。単に名前が同じだ、というだけなんですけれどね。
監督:ロベルト・ファエンツァ
IMDb
cinecitta.news
公式サイト
公式サイト(イタリア語)
サントラ:I Vicere
Paolo Buonvino 
原作(英語版):The Viceroys
Federico De Roberto A. Colquhoun 
さて、以前、この作品の日本での公開が決まるずっと前に、イタリア在住のandosachiさんから、コメントをいただいていました。andosachiさんのブログには、ロケ地となったシチリア・カターニアの街の写真が多数掲載されています。本作品鑑賞の前後にぜひどうぞ。
イタリア料理スローフード生活:映画 ”I vicere' "の舞台を歩くーカターニアの街歩き
映画 ”I vicere' "の舞台カターニアを歩く 2
※ 日本におけるイタリア年関連イベントについては、未定のようですが、飲食店などとのタイアップが多数、公式サイトに掲載されています。割引鑑賞券のプレゼントや、半券での割引サービスなどがありますので、事前にチェックしておくといいかも。
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