『シルク』 Silk
先週末に観てきました。一言で言えば、美しい映像で幻想的に、穏やかに描いた『赤いアモーレ』という印象。
2人の女性の間を振り子のように揺れ動いていた男は、結局、どちらの女性の気持ちも理解していなくて(もしかしたら、自分自身の気持ちさえも)。妻の死後、ようやく真実に思い及んだ男の告解のようでした。
19世紀のフランスで、街の産業である製糸が、蚕の病気による危機に瀕したため、若いエルヴェが健康な蚕の卵を求めて日本へと旅をすることになります。旅先の日本で出会った女性に心奪われ、3度日本を訪れるものの、その女性との関係が深まるでもなく、フランスでの妻との日常に戻ることを余儀なくされます。ところが、エルヴェの元に、日本語の手紙が届き、後にその真意を知ることになります。
日本についての描写は、詳細はともかく、概ね問題ないと思います。でも、このストーリーのキーパーソンである女性の行動・装い・十兵衛との関係性などは、理解できません。おそらく、遥か異国の地で出会った神秘的な存在として描こうとしたのでしょうけど、神秘的というより単に不可解な描写ばかりです。(日本人の目から見ても、理解できない存在だったわけですから、作り手の意図した役割は果たせたのかも。)
彼女の心情と思ったものは、エルヴェの願望の投影であり、彼女を通してエレーヌの幻影を見ていたのであって、彼女の本心は別のところにあったかもしれないとさえ思えます。
では、彼女の本心は?そのあたり、不可解な行動からはどうにも読み取れません。きっと真意がどこにあろうと、構わないのでしょう。
そうすると、エレーヌの心情が、この作品の焦点か。夫の気持ちに確信を持ってしまった時に、どうするか。あるがままに受け止める強さ、あるいは受け入れるしかない弱さ。
とはいえ、男性の意思を優先することが美徳であると言わんばかりの展開に時代を感じると同時に、薄く柔らかい絹の布を通して眺めているかのような、ぼんやりとした描写がもどかしく感じる作品でした。
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監督は、『レッド・バイオリン』の監督だったんですね。比べてしまうと、本作では大幅にパワーダウンした感じが否めない。
『レッド・バイオリン』のときは、舞台に応じて各国語で作られていたのに、本作では少しの日本語部分を除けば、ほぼ全編英語であったのも、残念なポイント。しかも、英語圏の俳優集めてイタリアでロケして、”舞台はフランス”って……よくわかりません。
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製作 / 2007 カナダ・フランス・イタリア・イギリス・日本
監督 / フランソワ・ジラール
キャスト /
エルヴェ … マイケル・ピット
エレーヌ … キーラ・ナイトレイ
原十兵衛 … 役所広司
少女* … 芦名星
マダム・ブランシュ … 中谷美紀
原作 / アレッサンドロ・バリッコ
*クレジットではThe girlという表記。girlにしろ、少女にしろ、あの役どころを表すには不自然だと思うんだけど。
ロケ地:セルモネータ(ラツィオ)、ローマ、オスティア、トリノ、ピーニャ(リグーリア)、日本、他
*フランスの街の風景は、主にセルモネータで撮影。
DVD
![]() | シルク スペシャル・エディション マイケル・ピット キーラ・ナイトレイ アルフレッド・モリーナ 角川エンタテインメント 2008-05-23 by G-Tools |
原作本
![]() | 絹 (白水Uブックス 169 海外小説の誘惑) アレッサンドロ・バリッコ 鈴木 昭裕 白水社 2007-12 by G-Tools |
原作本(イタリア語)
![]() | Seta [Italian] Alessandro Baricco BUR Biblioteca Univ Rizzoli 2000-07 by G-Tools |
サントラ
![]() | SILK ryuichi sakamoto 坂本龍一 エイベックス・エンタテインメント 2007-12-12 by G-Tools |
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