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30/10/07

『ワルツ』 Valzer:東京国際映画祭

ワルツ valzer

先週の東京国際映画祭で、『ワルツ』観てきました。全編ワンカットって、どういうことなんだろう?と、観る前は想像すらできなかったんですが、85分間本当にワンカット。すごいです。流れるようなカメラワークがワルツの軽やかさを想起させます。

ワンカットながらも、フォーカスされる人物が入れ替わり、回想と現在とが交錯して、各々の事情がリンクしていきます。そして、虚構の中にも存在していた真実と言えるものは、受け入れがたい現実よりも大きな支えだったということが、嬉しくもありショックでもあり。

こういう映画の作り方もできるんだなあ。ワンカットでの撮影という技術的な部分だけでなく、ストーリーもおもしろい作品でした。

以下、ネタバレありです。

全編ワンカットの撮影ということで、映画の中の時間の進行も実際のそれと同じく、約2時間弱。ホテルに勤める主人公・アッスンタの、最後の勤務シフトの始まりから終わりまでを描いた作品です。

アッスンタが勤めるホテルの従業員たち
娘からの手紙が、服役中の心の拠りどころだった父親
ショウビズとしてのサッカーを取り仕切る人々
ビジネスとしてのサッカーに飲み込まれそうな元スタープレイヤー
セレブの生活に憧れ、過去を切り捨てていく友人・ルチア
異国にありながら、信念を守り続けるパレスチナ出身の同僚
服役中の友人の父親に宛てて、代わりに手紙を書き続けたアッスンタ

カメラが動き、アッスンタがすれ違う人々との間でシーンが展開し、時にはフォーカスされる人々が入れ替わります。それぞれの事情が明らかにされていく途中で、メインとなるのは、アッスンタとルチアの父親との関係です。

「手紙だけが唯一の拠りどころ」というルチアの父親に同情するように、ルチアとして10年も手紙を書き続けたアッスンタ。彼を支えているつもりだったが、彼の父親としてのことばに勇気付けられ、支えられていたことも事実であり、偽りのはずの2人の関係は、実のところ、本当の親子としてのそれ同様になっていたわけです。

手紙のフレーズを暗記するほどに読み返し、同封されていたはずの写真を切望していた父親を目の当たりにした時、アッスンタはそれほどまでに関心を持たれていたことに嬉しさを感じると同時に、理由はどうあれ彼を騙していたことを激しく後悔したでしょう。

このシーンは、ほんわかとした暖かさと、胸を締め付けられるような苦しさとを同時に感じる印象的なシーンでした。

はたして、父親が失ったのは、幻想の中の娘・ルチアだったのか、偽りの関係ながらも親子のように手紙を交わしたアッスンタとの関係だったのか、その両者だったのか。

製作 / 2007 イタリア
監督 / サルヴァトーレ・マイラ
キャスト / 
アッスンタ … ヴァレリア・ソラリノ
ルチアの父親 … マウリツィオ・ミケリ
ルチア … マリーナ・ロッコ

作品紹介(TIFF)

IMDb
cinecitta.com

ロケ地:トリノ
     Hotel Santo Stefano

B001D8NH1W ホテル・ワルツ
ヴァレリア・ソラリーノ マウリツィオ・ミケリ マリーナ・ロッコ
ビデオメーカー  2008-10-08

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