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05/04/06

ルー・サロメ-善悪の彼岸/Al di la del bene e del male

AL DI LA DEL BENE E DEL MALE先週、公開終了間際に滑り込みで観てきました。カヴァーニや出演者の新作が公開されるわけでもないし、ノーカットだからと言って再上映するほどの人気作品でもないだろうし、なぜ「ルー・サロメ-善悪の彼岸」なんだろうという疑問はありますが、未見の作品ですし、「家族の肖像」「1900年」で見たドミニク・サンダという女優が気になっていたこともあって、劇場へ。

ストーリーは、ルー・サロメ、パウル・レー、フリードリッヒ・ニーチェという実在の人物の3角関係が主軸となっていて(一部脚色などがあって史実とは異なる部分もあり)、ルーの魅力に惹かれた男性たちがけして幸せとはいえない人生を辿っていきます。

カヴァーニの作品は、「フランチェスコ」「愛の嵐」を見たことがありますが、前者はともかく、後者は登場人物の誰にも共感できない作品で、女性監督の作品であるにもかかわらず、ルチアの女性としての心理も理解できませんでした。男性視点で撮る監督さんなのだなあ、と感じたことを覚えています。

今回観た「善悪の彼岸」は、退廃的でエロティックな描写もいくつかあって、それはそれで注目すべき点なのかもしれないのだけれど、むしろ、ルー・サロメという女性に興味を持ちました。ルーの行動を追っていると、男性との恋愛関係も楽しむけれど、その他の点ではことごとく「男性的」な気がするんです。思考とか、価値感とか、感性とか、当時の女性の代表のようなニーチェの妹とは、とても対照的で。

「愛の嵐」では監督としてのリリアーナ・カヴァーニに、「善悪の彼岸」ではルー・サロメに男性的なものを感じ、なんとなく飲み下しきれないものを抱えているような気持ちだったんですが、いろいろと資料にあたってみたところ、共通項となるキーワードが出てきました。「両性具有」です。

イタリア映画の監督たち」という本に、監督論として「カヴァーニは両性具有の監督である」とあったのを見つけて、引っかかっていたものがストンと落ちた気がしました。

きっとルー・サロメも両性具有の人だったのでしょう(もちろん、肉体的・生物学的な意味ではなく)。そのことに、本人も含め、思い及ぶかどうかが、ルーとのよい関係を築けるかどうかのポイントだったのではないかと。(「愛の嵐」も神話のアンドロギュノスの話を思い浮かべると納得できるかも。)

タイトルの「善悪の彼岸」は、原題も同じで、ニーチェの著作から取ったものです。ニーチェの著作と映画との関連は、おそらくないと思いますが、「二元論では説明しきれない部分」という意味で、善悪という概念を超えたところ、男性と女性という性別を超えた関係というようなことを表していたのではないかと感じます。

作品そのものとしては、ルーを巡っての人間関係や、エロティックな描写ばかりが注目されているようですが、私が印象的に感じたのは、ルーのいない家で話していたルーの夫とパウル・レーのシーン。一度ルーを手に入れた男が経験するなにかを感じ取ったふたりが穏やかに話す様子が、妙にリアルでした。

《DVD》

B000IMUX7Uルー・サロメ 善悪の彼岸 ノーカット版
ドミニク・サンダ リリアーナ・カヴァーニ エルランド・ヨセフソン
ポニーキャニオン 2007-01-10

by G-Tools

《関連リンク》

  • Wikipedia ルー・サロメ
  • 聖三位一体の写真
    映画作品中の写真が本物とそっくり。それぞれのルックスも結構似ているような気がする。
  • IMDb
    ユーザーコメントの中に「カヴァーニのドイツ3部作」という表現が。「愛の嵐」「善悪の彼岸」「ベルリン・アフェア」の3作品を指すらしい。
  •  
    《関連書籍》

  • ルー・アンドレアス‐ザロメ―ニーチェ、リルケ、フロイトの道連れ
  • ニーチェ・レー・ルー―彼等の出会いのドキュメント
  • ルー・サロメ 愛と生涯 ちくま文庫
  • 歴史に刻まれた12の愛の物語
    (10章:ルー・サロメ―かかわる男を狂わせる信念の女)
  • 華麗なる頽廃(デカダンス) ドイツ・オーストリア 世紀末の美と夢
    (ルー・サロメ 世紀の愛人―情熱と拒絶の女)
  • 善悪の彼岸
    ニーチェの著作

  • 《サントラ》

  • AL DI LA DEL BENE E DEL MALE

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