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02/07/05

スクリーンの向こう側・第3回:『情事』(後編)

前編から続く)


アンナはなぜ失踪したのか? 失踪したアンナは生きているのか? 生きているとしたらどこに? 謎はひとつとして明らかにならず謎のままです。それは、この作品の最大の焦点はアンナの動向ではないから。あくまでも、不安に駆られるクラウディアの心情のほうが、メインなのです。

ラストでは、クラウディアの感じた不安のひとつが、現実のものとなります。サン・ドメニコ・パラスの人気(ひとけ)のないホールや廊下は、実際以上にその広さを感じさせ、その空虚さがなによりクラウディアの心と重なって感じられます。


別の作品では、明るく美しいホテルとして映ったサン・ドメニコ・パラスが、陰鬱で寂しげな印象を抱かせるのは、モノクロ作品のせいだけではないでしょう。

同じホテル、同じ舞台なのですが、『情事』と『グラン・ブルー』では全く別の表情を見せているサン・ドメニコ・パラス。

残念ながら、日本では『情事』のビデオ/DVDが販売されていないのですが(追記:2008年8月に日本版DVDが発売されました)、タオルミーナを訪れる機会があれば、この古い作品のことも思い出していただければと思います。

さて、あなたがタオルミーナを訪れるとき、このホテルはどんな表情をしているでしょうか?


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情事 / L'avventura

製作 / 1960年 イタリア・フランス
監督 / ミケランジェロ・アントニオーニ
キャスト /クラウディア(モニカ・ヴィッティ)、サンドロ(ガブリエーレ・フェルゼッティ)、アンナ(レア・マッサリ)


B001B48R7C情事
モニカ・ヴィッティ, ガブリエーレ・フェルツェッティ, レア・マッサリ, レンツォ・リッチ, ミケランジェロ・アントニオーニ
紀伊國屋書店 2008-08-30

by G-Tools


* 上映差止めを求めた理由のひとつは、「最愛のマンマが不機嫌で醜い存在として描かれていたから」なのだそうです。そんな理由で上映差止めの訴えを認めてしまうとは、さすが、マンモーネの国イタリアです。(本文に戻る

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今回Vite Italiaの高岡さんから、この作品に合わせて紹介されたワインは、「トレッビアーノ・ダブルッツォ」の中でもエドアルド・ヴァレンティーニ氏が造る「トレッビアーノ・ダブルッツォ」です。

いわゆる大量生産ワインとされる銘柄のトレッビアーノ・ダブルッツォの中で、ヴァレンティーニ氏のトレッビアーノ・ダブルッツォは入手困難な、まぼろしのワインとまで言われる逸品。

2つの映画の中で映し出された、同一の被写体の表情の違いを、高岡さんはワインにおけるブドウ品種を例にとり、同じトレッビアーノ種で造られるワインの味の違いに置き換えてお勧めワインをセレクトされています。

一般的なトレッビアーノ・ダブルッツォと対比して、ヴァレンティーニ氏のトレッビアーノ・ダブルッツォがなぜアントニオーニの『情事』に結びつくのか。詳細は2005/6/30のメルマガをご覧ください。

トレッビアーノ ダブルッツォ 2000 ヴァレンティーニ 

トレッビアーノ ダブルッツォ ヴァレンティーニ


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