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10/05/05

『スクリーンの向こう側』第2回:「親愛なる日記」(前編)

感動のストーリーに涙したり、ありえないアクションにワクワクしたり、美しいディーヴァの横顔に見惚れたり……。映画の楽しみ方って、「こうでなくっちゃ」と堅苦しいものがあるわけではありませんから、ひとそれぞれですし、いくつかが混ざってたりもしますよね。そのいくつかの楽しみ方に、私はときどき「疑似体験」が入ります。

つまり、映画を観ながら、主人公と一緒に旅をしてみたり、恋愛をしてみたり、という気分になっちゃうわけです。今回はそんな風に、主人公と一緒に"島めぐり"をする作品をご紹介しましょう。

ナンニ・モレッティ監督の『親愛なる日記』です。


モレッティと言えば、一番よく知られている作品はカンヌでパルムドールを受賞した『息子の部屋』でしょう。この作品をはじめ、過去のモレッティ作品をご覧になった方はご存知だと思いますが、モレッティは『ライフ・イズ・ビューティフル』のロベルト・ベニーニや『踊れトスカーナ』のレオナルド・ピエラッチョーニ同様、作品を監督するだけでなく、各作品の脚本・主演もこなすマルチ・プレーヤーです。

しかも、2,3の例外を除いて、彼が演じた役はすべて"ミケーレ"という名の、モレッティの分身ともいうべき存在でした。

この『親愛なる日記』では、ミケーレから離れ、ナンニ・モレッティ本人として登場。そのタイトルが示すとおり、彼自身の実体験を元に再構成された日記のような作品になっています。"日記"は「ヴェスパに乗って」「島めぐり」「医者めぐり」の3つのエピソードから成っていて、そのうち風の神の島・エオリエ諸島を巡るのは、真ん中の「島めぐり」(他の2編はローマが舞台)です。

この作品では、シチリア島の北方に浮かぶエオリエ諸島の主な島7つのうち、5つの島を訪れます。モレッティがローマからわざわざエオリエ諸島まで来た理由は「次回作の脚本を書くため」でした。ローマではなにかと煩わしいことも多いのでしょうし、集中して何かをするという環境ではないのかもしれません。最初にリパリ島を選んだのは、友人のジェラルドを訪ねるためです。

リパリではまず、ふたりでバールへ行きます。このシーンは、なんとも肩の力が抜けていて、私の好きなシーンです。そうですね、「島めぐり」の中では2番目に好きです。

テレビに映っていたシルヴァーナ・マンガノのダンスに合わせて、踊りだすモレッティからは、インテリで、マザコンで、左翼で、延々と持論を展開するいつものモレッティは想像できません(笑)

ここでモレッティが注文したのはオレンジジュースとパニーニ。もちろん、トマトジュースかと見間違うほどの真っ赤なジュースがカウンターに差し出されます。パニーニのほうは、定番のモッツァレッラとトマト。一方、ジェラルドが口に運んでいるのはグラニータ。大の男が小さなグラスを手に、背を丸めるようにして食べている姿が、滑稽というか、微笑ましいというか。

そんな光景を見ると、「ああ、イタリアのバールだ~」と、イタリア旅行の時に体験したつかの間の"イタリアの日常"を思い起こします。

結局、リパリでは交通量の多さとその騒音にうんざりしてしまい、別の島へ行くことになりますが、実際のところ、エオリエ諸島は過疎化の進んでいる地域で、ヴァカンツァのシーズンで閑散としたローマとは逆に、一年で一番、島が活気付いている時期だっただけなのです。

次の島はサリーナ島でもやはり脚本には手が付けられず、移動した先のストロンボリ島でも、観光をしただけで、島を後にします。4つ目のパナレーア島では、さらに滞在時間が短くなり、乗ってきたフェリーにUターン。


後編に続く)
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