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07/07/04

Stargazer

外国の夜は暗い。どこの街もというわけでもないだろうが、海外へ行くと感じることのひとつが夜の暗さ。街頭の数自体が少ないのだろうし、その光も、白い蛍光灯の光ではなく、ぼんやりと黄色い白熱灯の光だからなのだろう。東京の夜の明るさが異常なのかもしれない。

東京で生まれた私は、ほんとうの夜の暗さというものを知らずに育った。だから知っている星空といえば、三ツ星は見えてもその周囲の星をいくら結んでもオリオンにはならないような程度の星空だ。日本海側の古い城下町出身の母は、空いっぱいに星が見えるような”ほんとうの星空”を見せてやりたいと、よく言っていた。彼女が子どもの頃普通に見られたそれは、今では故郷の空を見上げても見られなくなってしまったのだそうだ。

その”ほんとうの星空”を期待していたわけでもなかったのに、頭上に見つけたときは嬉しかった。オーストラリアの真ん中、エアーズロックに行ったときのことだ。アボリジニの聖地であるその場所は、空港やホテル、病院などの最低限の施設を除けば、他になにもないところ。どちらを向いても地平線が見えるような場所だ。

真っ暗な夜。360度、見上げれば空いっぱいに、降るように星が瞬いている。満天の星空とはこのことを言うのだとひとり納得してしまった。眩暈がしそうなほどの星空。星が近い。これが”ほんとうの星空”なのだ。星の数が多すぎてどれが南十字星なのかわからないほどの空が。

母は視力が良い。私がメガネを作るために視力検査をしているとき、私の後ろに座って待っていた母は、その位置から検査表を眺めて一番下の段まで読んでしまう。だから母は、”視力が悪い状態”が想像できないのだと言う。私に不思議そうに聞いたことがある。

「目の悪いひとって、あのへんが光ってるなあと思って、あそこに星があるなあってわかるの?」

お母さん、それは視力が良い人でも同じじゃないの。何光年離れてると思ってるの?

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Stargazer…星を見つめる人、の意味で使おうと思っていたタイトル。調べてみると占星術師、夢想家、そしてスターの追っかけ(!)を意味する単語なのだそう。でも、ことばの響きが気に入ったのでそのままに。

※ CinemaItalia に 2002/12/03 に掲載した記事の再掲です。

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