じょうずなワニのつかまえ方
How to hold a crocodile
活字は嫌いではない。どちらかといえば、好きなほうなのだが読書量はお世辞にも多いとはいえない。そして、必要に迫られてというわけでもないのだが、なぜか小説などのフィクションよりは、ノンフィクション系、ハウツー系の本を手にすることが多いように思う。
その本は、10年ほど前に日本でも翻訳が出版された本で、A4サイズほどの大きな本だった。鮮やかなピンク色のカバーがかけられ、帯のキャッチコピーにはこうあった。
「今は無用の知識でも、いつか必ず役に立つ !!」
どうしても必要な本ではない。なのに、なんとなく惹かれてその本を買ってしまった。標題の「じょうずなワニのつかまえ方」をはじめ、いつ役に立つのか、だれが必要としているのかよくわからないような、○○のやり方がここぞとばかり載っていた。名前を変える方法、聖人になる方法、英国女王になる方法、ダチョウの乗り方などなど。遊び心のつまった本だった。(もちろん、ワインに合わせたワイングラスの選び方などという実用的なものも含まれていたが)
その本が、昨年文庫化されたらしい。冗談じゃない。「無用の知識のつまった本」は、あの無駄と言ってもいいほどの大きさでなくなってしまったのだ。来ないかもしれない「いつか」のために、コンパクトで実用的なサイズの本になってしまったのだ。
中身はもちろん同じ物なのだろうが、「遊び」の部分がひとつなくなってしまった気がした。出版する側にとって、サイズの変更はささいな一点だっただろうけれど、遊びより利益を取ったかのような変更に、「ゆとり」のなさを感じてしまうのは私だけだろうか。
※ CinemaItalia に 2000/03/04 に掲載した記事の再掲です。
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