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01/07/04

「薔薇の名前」と「鉄鼠の檻」

鉄鼠の檻(てっそのおり)」という小説をご存知だろうか?

日本のミステリー作家京極夏彦氏の作品で、通称「京極堂シリーズ」の中の1冊であり、少々難解な、だが上質のミステリーである。

舞台は俗世間と関わりを絶った箱根山中の禅寺。奇妙なことに同じ寺の中に、違う宗派、つまり、臨済宗と曹洞宗、両派の僧侶がいる。この寺の僧侶が次々に殺されていく。犯罪の隠蔽のためか、なにかの見立てか、死体はどれも謎を伴って発見される。犯人は、この寺に縁(ゆかり)のある者で、言ってみれば内部犯行である。そして、この一連の事件の鍵を握るのが書庫の中の一冊の本。

ひとつひとつが、きちんと対比しているわけではない。題材も全く別。が、私にはどうも「日本の「薔薇の名前」」に思えてしかたがない。京極氏は、「薔薇の名前」にインスパイアされて......なんてことはないか。

このシリーズでは、京極堂こと中禅寺秋彦が不可思議な、ときには猟奇的な事件に巻き込まれ、渋々その謎解きをする羽目になる。しかも、彼が引っ張り出される事件は、その背景に宗教的確執あり、妄信的科学者あり、精神病を患う者ありで、一筋縄ではいかない。謎解きの過程で彼の口から語られることは、理解に知識と集中力が必要なほど、複雑で難解なのだが、決して「不思議」ではない。「不思議な事件」と思い込む友人に向かって彼は言う。

「この世には不思議なことなど何もないのだよ」

鉄鼠の檻」以外の作品も読み応えあり。ミステリーの満腹感を味わいたい方にお勧めしたい。


一連の作品については、こちらのサイトに情報が ”みっしり” と詰まっている。

大極宮 … 京極夏彦氏が所属する大沢オフィスの公式サイト
京極夏彦ネットコミュニティ

※ CinemaItalia に 1999/03/28 に掲載した記事の再掲です。

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